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パネル1枚・1ワットから始める太陽光発電

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原子力発電による環境への悪影響

最近、原子力発電所の廃炉に際して発生する高レベル放射性廃棄物の処理に10万年の歳月がかかることが話題となりました。

原子力規制委員会は31日、原発の廃炉で出る放射性廃棄物のうち、原子炉の制御棒など放射能レベルが比較的高い廃棄物(L1)の処分の基本方針を決定した。地震や火山の影響を受けにくい場所で70メートルより深い地中に埋め、電力会社に300~400年間管理させる。その後は国が引きつぎ、10万年間、掘削を制限する。これで、放射能レベルの高いものから低いものまで放射性廃棄物の処分方針が出そろった。

 原発の廃炉で出る放射性廃棄物は、使用済み核燃料から出る放射能レベルが極めて高い高レベル放射性廃棄物と、L1、原子炉圧力容器の一部などレベルが比較的低い廃棄物(L2)、周辺の配管などレベルが極めて低い廃棄物(L3)に大きく分けられる。

 埋める深さは放射能レベルによって変わる。高レベル放射性廃棄物は地下300メートルより深くに10万年、L2は地下十数メートル、L3は地下数メートルとの処分方針がすでに決まっていたが、L1は議論が続いていた。大手電力会社でつくる電気事業連合会は、国内の原発57基が廃炉になれば、L1だけで約8千トンの廃棄物が出ると試算している。

朝日新聞 2016年9月1日より

これは、廃炉するしないにかかわらず、原子炉を稼働させることに寄って発生する高レベル放射性廃棄物に対して、必ず行わなければならない措置です。

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出典:「原子力・エネルギー」図面集2016 8-3-9

高レベル放射性廃棄物の地層処分(電気事業連合会)

原子力発電所は、核分裂によって発生する熱をエネルギーとして使用する構造上、人体に悪影響のある放射線を発する放射性物質が必要となります。線量が高い場所では、数時間で人を死に至らしめる他、少しの放射性物質でも長い期間を掛けて、人体に悪い影響を与え続けます。

また、運用に関するリスクも存在します。人間が行う以上仕方のないことですが、原子力発電所の管理運用では、しばしば運用不備が発覚しています。

女川原発に自治体立ち入り 記録不備の防止策を確認

東北電力女川原発の設備点検記録に4500件を超す不備が見つかった問題を受け、立地する宮城県、石巻市、女川町の3自治体は8日、安全協定に基づき立ち入り調査し、再発防止策の実施状況を確認した。

読売新聞 2016/6/8より

福島第一原発事故の経過を見てもわかるように、2重3重の安全対策が施されていても、想定外の出来事は起こるものです。万が一も許されない原子力発電所の運用において、人為的なミスや組織の硬直化を踏まえた上で、完全な運用が今後長きに渡って維持され続けると保証できるのでしょうか。

政情不安による戦争やテロへの懸念

現在、日本は70年の長きに渡って平和を維持してきました。今後も、この姿勢は変わらないと信じていますが、先日の北朝鮮のミサイル発射などを見てもわかるように、世界の情勢がそれを許してくれるかは予断を許さない情勢です。

もし、原子力発電装置がミサイルやテロの標的となるようなことがあれば、甚大な被害を及ぼすことになります。そのようなリスクを抱えて発電し続ける程にメリットが見込めるのでしょうか。

北朝鮮ミサイル 3700キロ飛行、グアム射程か

韓国軍合同参謀本部などによると、北朝鮮は日本時間15日午前6時57分ごろ、平壌の順安(スナン)付近から東に向けて弾道ミサイル1発を発射した。日本政府によると、ミサイルは北海道上空を通過し、午前7時16分ごろ、北海道・襟裳(えりも)岬の東約2200キロの太平洋に落下した。付近を航行する航空機や船舶への被害は確認されていない。政府は全国瞬時警報システム(Jアラート)を通して12道県に避難を呼びかけた。韓国軍によると、ミサイルは飛行距離約3700キロ、最高高度約770キロ。日本政府は約800キロとしている。

毎日新聞 2017/9/15より

原子力発電にかかるコストはどのくらい?

政府によって開かれたエネルギー・環境会議「コスト等検証委員会」は2011年(平成23年)12月、各発電設備の発電コストについての試算を報告しました。これによると、原子力発電にかかる発電コストは、kWhあたり、8.9円~となっています。しかし、この値は原子力発電所の事故による対策費用を6兆円と見積もっており、これが1兆円増えるごとに0.1円のコスト増となる計算としています。

原発のコストのグラフ

コスト等検証委員会報告書[PDF]

福島第一原発事故による、処理費用は、2016年時点で12兆円に膨らんでおり、上記の計算で言うと既に0.6円のコスト増となっています。廃炉作業自体、技術的な見通しが立っていない現在、この費用がどこまで膨らむのか誰にもわかりません。

東日本大震災5年 原発事故処理費

国民負担、説明尽くせ

 東京電力福島第1原発事故の処理費用はいくらで、誰が負担しているのか。検証記事を2月21日朝刊に掲載した。総額は12兆円を超え、多くが電気料金や税金で賄われているのに、ツケ回しの実態が国民には見えにくい。30〜40年続く事故処理で、国民にどれだけしわ寄せがくるのか、東電と国は毎年その仕組みや金額について丁寧な説明を尽くすべきではないか。事故の深刻な結果を忘れないために必要なことだと私は思う。

毎日新聞 2016/3/30より

また、福島第一原発事故は、残念ながら現実に起こってしまった事故ですが、今後、同様の事故が他で起こらないとは言い切れません。事故処理の費用をいくらで見積もればよいのか、誰にもわからない状態なのです。

それだけではありません。事故無く稼働終了した原発においても、解体費用がいくら掛かるのか、世界中のどこにも実績が無いため不透明です。イギリスで、1993年に廃炉作業に取り掛かったトロースフィニッド発電所は、一部の放射線量が高すぎるため、50年間の作業中断をはさむ必要があり、解体完了までに70年以上の期間を必要とする見込みとなっています。

原発:「解体先進国」英、稼働26年・廃炉90年(その1) 高線量、作業に壁

世界で最も廃炉作業が進む原子力発電所の一つ、英ウェールズ地方のトロースフィニッド発電所(出力 23・5万キロワット、炭酸ガス冷却炉、2基)の作業現場に入った。1993年の作業開始から20年。責任者は「既に99%の放射性物質を除去した」と説 明するが、施設を完全に解体し終えるまでになお70年の歳月を要する。「想像以上に時間とコストのかかる作業」(作業責任者)を目の当たりにし、日本が今 後、直面する道の険しさを思い知らされた。【グウィネズ(英ウェールズ西部)で小倉孝保、坂井隆之】

毎日新聞 2013/8/19より

このように、事故の補償や廃炉まで費用を含めたトータルでのコストが不明瞭なまま、非常に楽観的な見通しの上で試算したコストをもって「安い」と説明しているのが、原子力発電所の発電コストの実情なのです。

ウランの埋蔵量は100年分程度

原子力発電に使用するウランは、火力発電に使用する化石燃料群よりも高効率にエネルギーに変換可能なため、燃料費としては非常に安上がりです。

しかし、ウランの埋蔵量は少なく、40~100年で採掘可能なウランを掘り尽くすと言われています。

ウラン生産国と資源状況

燃料や施設の扱いには、10万年などの長いスパンでの管理が必要なのにもかかわらず、最大限に見積もっても100年程度の利用期間しかありません。

頼みのMOX燃料も色々問題が・・・

この事への対策として、資料済みの核燃料を加工して作られるMOX燃料によるウランの再利用が進められていますが、再利用されるウランは26%程度となります。さらに、現在稼働している原子力発電所で使用できるMOX燃料は、全体の3分の1までと限定的ですので、ウラン節約という観点からは、あまり役になっていないように思えます。

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核燃料サイクルによるウラン資源の 節約について[PDF]

MOX燃料は、国内では青森県北上郡六ケ所村にある「六ヶ所再処理工場」にて生産が計画されていますが、度重なる延期により完成はまだ先になりそうです。そのため、フランスで加工してもらったMOX燃料を輸入していますが、これにはウラン燃料の9倍の費用がかかっています。

MOX燃料の価格、ウランの9倍 高浜原発で1本9億円

使用済み核燃料を再処理して作るウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料は、通常のウラン燃料より数倍高価なことが、財務省の貿易統計などから分かった。再稼働した関西電力高浜原発3、4号機(福井県)などプルサーマル発電を行う原発で使われるが値上がり傾向がうかがえ、高浜で使うMOX燃料は1本約9億円となっている。(中略)

ウラン燃料の価格も非公表だが、同様に98年7月輸入分は1本1億1873万円。13年10月の輸入分は同1億259万円で、13年6月輸入のMOX燃料はこの約9倍にあたる。

朝日新聞 2016/2/28より

また、MOX燃料に含まれるプルトニウムは、ウラン燃料よりも放射線による毒性が高く、扱いが難しくなり、再処理の際に発生する放射性廃棄物は、1回の利用で埋設処理するよりも大幅に増えます。

MOX燃料使用の本命とも言える高速増殖炉ですが、実験炉である「もんじゅ」がトラブル続きの上に廃炉になり、ますます先行きが不透明となっています。

もんじゅ 年内に「廃炉」 関係閣僚会議

核燃サイクルは維持 高速炉の開発方針策定へ

政府は9月21日、原子力関係閣僚会議を開き、日本原子力研究開発機構(JAEA)が運営する高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、廃炉を含め抜本的に見直を行い、新たに「高速炉開発会議」を設置し年内に今後の開発方針を策定することを決めた。もんじゅを廃止した後も核燃料サイクルは堅持する方針だが、日本のエネルギー政策の転換点ともなりそうだ。

このように、燃料の点から言っても、計画の遅れや不備な点が目立ちます。大量の放射性廃棄物を残し、燃料となるウランが枯渇するという未来が待ち受けている可能性も、決して小さいものとは言えないのです。